善意を利用したチェーンメール
インターネットで怖いことのひとつは、情報のつたわる「早さ」がネット以前と段違いに早く、そして爆発的な広がり方になったことです。いったん広まり始めた情報をとめるのはとても難しく、ネット上にまちがった情報が一気に拡散することがあります。そんな中でも広がりやすいのが、「善意のデマ」です。悪意のあるデマ(偽情報)には、人は用心してかかったり、疑ってかかる傾向がありますが、善意を感じると気持ちのガードを下げる傾向があるのです。その結果、情報が真実かどうかたしかめることなく拡散してしまいます。現実にあった事例では、「交通事故があって○型の人の血液が足りないから同じ血液型の人は○○病院まで行って下さい」というメールが、善意の人たちによってチェーンメールのように大勢に転送されてしまい、病院に電話が殺到して業務に支障が出たことがあります。この「輸血が必要です」というのはチェーンメールのひとつのパターンで、人の善意につけこんだ巧妙なものだと言えます。こうしたメールが来たら、決して大勢に拡散してはいけません。輸血が必要だからと言って、メールを使って不特定の多数に呼びかけることはないのです。冷静に考えればわかることなのですが、メールをもらった人は「大変だ!」と善意によって転送してしまうのです。
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「いいこと」にも注意を
善意によっておこる混乱が、東日本大震災の際にもありました。twitterに「○○にとじこめられています」という書き込みがあり、それがリツイート(twitter上での「転送」のような行為)され、情報が多量に交錯してしまったのです。勿論、これらの情報の中には本当の情報もあり、twitterへの書き込みが元で助けられた人もいました。だから、twitterが悪いわけでも、書き込みが悪いわけでもありません。ただ中にはデマもあり、これらのデマも含め、同じ情報が「善意」によって何度もリツイートされていくことで別の大事な情報が埋もれてしまうという現象もおこりました。さらに、「雨に有害物質がまざる」といったデマツイートも流され、これもまた「善意の人々」によって一斉に拡散されていったのです。後からデマだとわかりましたが、情報が届いた人の中には信じたまま今も真相を知らない人もいるかもしれません。「拡散希望」というメッセージがついた緊急ツイートを、善意でひろめたくなるのは人の反射的な気持ちでしょう。少しでも善意に参加したい、力になりたいのが人の良心です。ですが、その瞬間、情報が本当なのかどうか、そして今、自分のリツイートが必要なのかどうかをほんの数秒でも考えるようにしましょう。「ネット上にはデマや嘘がころがっている」。このことは、多くの人にとって常識になりつつあります。その一方で、善意だと思ったり正義だと思ったことに対しては、いまだに弱い傾向があります。しかし善意に見える、あるいは善意から発されたものだったとしても、情報が正しいとは限らないのです。
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